第6回 1999年11月版
わしがつくっとるんじゃ 今回のわし!
菊間町・菊間中生の栽培
山崎 遙さん
わし顔写真

 菊間町は、越智今治管内の西の端にある、瓦とお供馬の走り込みで有名な町です。今回ご紹介する山崎さんは、菊間町のみかん生産者で、今月のこだわりで紹介している"菊間中生"の生みの親でもいらっしゃいます。

 秋になって、きれいなオレンジ色に色づきつつある園地にお邪魔してみると、山崎さんは下の方の実にも太陽の光がまんべんなくあたるように"枝つり"という作業をされていました。「今年の出来具合はどうですか?」とたずねると、「そうやねー。今年は、雨が多くて日照不足が心配されたけど、ここ数日のお天気で、だいぶ糖度がのってきた。今年もおいしいみかんができよるよ。食べてみる?」と、枝からみかんを採ってくれました。さっそくいただいてみると、「あっ、おいしい!ちょっと時期が早いけど、でもおいしい。」あっという間にたいらげてしまいました。

 山崎さんの園地にお邪魔して、最初に気がついたことは、"みかんがぶどうのようになっている"ということでした。実が木のところどころの枝にまるでぶどうの房のようにかたまってなっているのです。今まで、こんなふうに実をつけているみかんの木は見たことがなかったので、「実がなっている枝と全然なっていない枝があるのは、なぜですか?それに、なんかこのみかん、ぶどうみたい。」とたずねてみると、「これはね、"枝別結果"といって、こうやって枝ごとにわざとかためて実をならせるんよ。こうすることで、この枝の実1個当たりの水分量も少なくなるよね。やっぱり、十分な環境の中ですくすく育ったみかんより、自然の中でストレスを感じながら育ったみかんの方がおいしいから。」とのこと。「みかんはね、隔年結果といって、今年実がなったところには、来年実ができないんよ。だから、枝によって、今年実をつける枝と、来年のために休ませる枝を作るんよ。実をつけないようにするために、春、花が咲いた頃に枝をみながら花を摘むんよ。」「え?花を摘むんですか?」「そう。ひとつひとつ手でむしっていくんよ。」「えーっっ!ひとつひとつ?この園地の木、全部?」「そうよー。他の園地のも。」考えただけで気の遠くなるような作業…。山崎さんのおいしいみかん作りへのこだわりをみたような気がしました。

 そんな山崎さんですが、若い頃は、あまりみかん作りが好きではなかったそうです。「若い頃はねー、みかん作って何が楽しいんやろ。って思いよったよ。でも、近頃は、ちょうど今ごろの時期になって、みかんがきれいに色づいてきて自分の思うようなものができるとうれしくてねー。夏の炎天下での作業の時には暑さがこたえて、もうやめよ。と思っても、秋になったらその辛さも忘れてまた来年も作ろう。と思うんよ。日常のストレスも、山に来るとすぅーっとなくなって、また元気が出てくる。みかん作りはしんどいけど、しんどさを癒してもくれる面もある。」山崎さんは、本当にみかん作りが好きなんですね。「30年も毎日山に来ていると、みかんが今、何をしてほしいかがわかってくる。」とのこと。みかんが本当にかわいくて仕方がないようです。木が枯れてしまったところには、必ず苗木を植えていらっしゃいます。「娘に、お父さん!また木を増やしてっ。って怒られるんですよ。でも、やっぱりみかん育てたいですからねー。」と笑いながらおっしゃっていました。最後に「みかんを作っていて一番嬉しい時はどんな時ですか?」と訊ねると、「それはやっぱり、消費者の方においしい。と喜んでもらえた時です。そのために、毎日毎日がんばっているんですから。」と笑顔で答えてくださいました。取材をしていて、山崎さんが、みかんひとつひとつに愛情を込めて接していらっしゃるのがとてもよく伝わってきました。今年も、山崎さんのおいしいみかんが楽しみです。


写真説明(上から)
●収穫前の最終準備を行っています。(左・右)
●菊間中生の実と、木です。(左・右)
●今が一番忙しい時期です。(右)
●山崎さんの畑からの風景です。(左)
区切り線
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