第28回 2002年10月版
わしが作っとるんじゃ 今回のわし!
カモ飼育・料理店経営
菅 昭三郎さん
わし顔写真

写真 食べ物が美味しい実りの秋を迎えました。今回は、美味しい秋を思う存分味わっていただこうと、「食欲の秋」にピッタリの企画。鴨料理を紹介します。

 カモを飼育し、そのカモを使った料理店を経営しているのは、越智郡大三島町の菅昭三郎さん。大三島と言えば、歴史上の名のある人々が様々な武具を奉納した大山祇神社で有名。隣接する国宝館には、源義経や源頼朝などの鎧や武蔵坊弁慶の長刀などおびただしい量の武具甲冑が展示されています。

写真 菅さんがカモを飼育し始めたのは、昭和51年。きっかけは、「県の活性化事業にカモの飼育事業があったから」。しかし、販売ルートが確立できず、グループでやる予定が「1人減り、2人減り、最終的に私ひとりになった」とのことです。そこで菅さんは、新鮮なカモの肉を使った鴨料理店「鴨昭」を開くことを決意します。 開店当初は、朝3時頃まで働いたことも多かったそうですが、奥さんのトシミさんと二人三脚の毎日を送ります。

写真 現在、鴨料理店「鴨昭」は、平成11年から「尾ノ部」と名前をかえて、現在の場所に新築移転しました。平成11年と言えば、瀬戸内しまなみ海道が開通した年。菅さんは、平成元年頃に県道大三島・上浦線沿いに土地を購入。10年計画で山を開き、店作りの準備を進めてきました。

写真 菅さんが飼育しているカモは常時、800羽ほど。1羽で年間平均130個くらいの卵を産むそうですが、6月から8月頃に産卵したのを孵卵器に入れます。中の温度を38度に保ち24日するとヒナがかえります。(ちなみに、ニワトリは21日だそうです)そして、5カ月以上育てて肉にします。1羽1キロ程度になり、400〜500グラムの肉がとれます。

 エサは、JAから仕入れている配合飼料に無農薬自家野菜と近所の豆腐屋さんからもらってくるオカラ。ただし、オカラは肉にする2カ月前からは与えません。「肉が白っぽくなるから」と菅さん。アメ色をしているカモの肉が新鮮で本当の色だそうです。

写真 菅さんは、「カモの糞の始末」と「店に出す野菜を作るため」に野菜も作り始めました。野菜はカモにエサとして与えるため、農薬は使用しません。また、肥料はカモのふんなど有機質肥料のため、ふんの有効利用にも一役買っています。店に来るお客さんが、「ここの野菜は甘い」って言うのもわかります。

 店で一番人気の鴨鍋に使っている料理のうち、「白菜」「春菊」「ネギ」「しいたけ」は自家栽培。鴨鍋は、うどんに雑炊がついて、一人前2,500円。この料金は、「鴨昭」を開店させた25年前からかわっていません。

写真写真 菅さんのこだわりは、「鮮度」。鮮度の良い肉をお客さんに食べていただくこと。そのため、開店当初から冷凍肉は一切使っていません。カモの肉を冷凍すると「少しくさくなる」そうですが、新鮮なカモの肉は「極めて美味」です。 確かにカモの刺身を口に入れたとき「これって魚じゃん!」「まぐろ!?」って感じです。くさみはまったくなく、魚の味がしたのにはビックリしました。また、鴨焼きはジューシーで濃厚な味。地鶏をさらに美味しくしたような味と言ったらわかりやすいでしょうか。

写真写真 続いては、メイン料理の鴨鍋です。器にだしを入れて、七味を少しふりかけて頂きます。鴨の肉は色がかわったらすぐに食べるほうが柔らかくて美味しいです。身と皮の間に旨味が凝縮されています。またそれを生かしているのがダシ。このダシも25年前からかわっていない同店特製秘伝の味。昆布やカモのがらを使いますが、「お肉を少し多い目に残しているため良いだしが出来る」と奥さんのトシミさん。

写真  ここまで食べるともうお腹がいっぱいになってきました。もう限界です。しかし、奥さんはうどんを用意。ニッコリ微笑んで「食べてください」とひと言。

 少し時間をおいてうどんを食べ、最後に雑炊で鴨料理のフルコースは終わりました。正直な感想を言いますと、「雑炊を最後に食べるのはもったいない。お腹が限界になる前に食べたい」と言うのが本音。それぐらい美味しかったです。やはり、だしが決め手でしょう。鴨鍋を食べた後に食べるから雑炊も美味しいと思いますが、今度は雑炊をおかわりできるようにペース配分を考えたいと思います。

写真 店の営業日や時間は決めていません。「お客さんにあわせている」との事です。店内は、40〜50人は一度に食事が出来るくらい広いし天井が高くて開放感があります。ただし、完全予約制。カモ肉は予約を受けてから必要な分だけさばきます。

 菅さんは、「これからも鮮度にはこだわっていきたい」と目を輝かせていました。

写真 この秋、大三島の大山祇神社で「文化の秋」を満喫し、「味覚の秋」でみかんを食べ、「グルメの秋」として鴨料理はいかかですか?・・・「スポーツの秋」でレンタサイクルもありますよ。

■しまなみグルメの里 鴨料理店「尾ノ部(おのべ)」
愛媛県越智郡大三島町宮浦1278 電話0897-82-0068(FAX兼用)
※完全予約制のため、電話予約が必要です。


写真説明(上から)
●鴨料理店「尾ノ部(おのべ)」建物外観です。(左)
●県道沿いの店の前には「尾ノ部の里 直販所」もあります。ここでは無農薬野菜やカモの卵を販売しています。(右)
●養鴨場です。常時800羽のカモが飼育されています。
●カメラをぶらさげていたのが気に入らないのか、カモたちは逃げ回っていました。(左)
●菅さんが、網を持ってカモを捕まえるところです。(右)
●菅さんが捕まえたカモです。頭が青いので「オス」だそうです。(左)
●孵卵器(ふらんき)です。この中へ卵を入れて、38度に設定し24日するとヒナが産まれます。(右)
●カモのふんなど有機肥料で育てている無農薬野菜。鴨鍋に使います。
●まぐろの味がするカモの刺身。新鮮でアメ色をしています。700円です。(左)
●ジューシーで濃厚な味のカモ焼き。案外むつこくなくて美味しかったです。1,000円です。(右)
●鴨鍋です。これで2人前。1人前は2,500円。うどん、雑炊もつきます。(左)
●鴨鍋の支度をする菅トシミさん。なぜか菅昭三郎さんは、カモ肉は食べません。(右)
●鴨鍋の後、うどんを入れるトシミさん。
●最後の仕上げは雑炊。ダシがたまらなく美味。
●菅昭三郎さんとトシミさん。来年は、お二人揃って海外旅行をされるそうです。トシミさんは、初の海外。「楽しみ」と満面の笑みを浮かべていました
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2002年7月号はこちらからどうぞ


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